No.7 訪問介護の事業を譲り受けしたBuyサイド事例

訪問介護サービスの幅が広がると考え、事業を譲り受けることにしました。

  • Before

    生活援助を中心とした訪問介護サービス

  • After

    身体介護にも対応できる訪問介護サービス

  • 立場・行動 : 買収・継承する

  • ご利用サービス : M&Aワンポイントサポート

  • 動機 : サービスの幅を拡げるため

  • 作成日

  • 更新日

インタビューした人
吉川

複数の社会福祉サービスを展開している法人が、同エリアの訪問介護事業所を事業譲渡で譲り受けた事例です。両社間で前向きな話し合いが進んでいる中で、弊社は契約に関するワンポイントをサポートするというカタチで支援させていただきました。職員さんとの雇用契約をはじめ、条件のすり合わせに関するアドバイザリーをさせて頂きました。理事長とは長くお付き合いさせている中、M&Aでもお役に立つことができたことが嬉しかったです。

  • インタビュー日時 2025/3/14

  • 追加更新日 2025/4/30

目次読了目安時間 : 約2分

訪問介護の事業を譲り受けした事例の概要

Sellサイド(譲り渡す側) Buyサイド(譲り受ける側)
業種 介護・福祉 介護・福祉
売上 数千万円 約20億円
オーナー年齢 60代 50代
主目的 後継者不在のため サービスの幅を拡大するため

Q1. 訪問介護のM&A(買収)を考えたきっかけは何ですか?

まず、今回「譲り受けよう」と思ったきっかけから教えてください。

出発点は、相談員経由で「困っている同業がある」と聞いたことですね。事情を聞いてみると、後継者不在で事業の譲渡を望まれてるんがわかって、当法人(社会福祉法人)として力になれるなら、と検討を始めました。

当初から積極的にM&Aを考えていたわけではないということですか?

そうそう、もともとは全く考えていなかったですね。むしろ、社会福祉法人なのでM&Aは距離がある印象でした。ただ、相手先には喀痰吸引など医療的ケアに近いスキルがあり、うちの訪問介護サービスと組み合わせれば、現場に良い刺激と幅が出ると感じました。規模の経済で単価が低くても利益を出せる体制がある点も、受け皿としての自信につながりました。

Q2:M&Aを進める上で不安はありましたか?

M&Aをすることは初めてだったと思うのですが、進めていく中で不安はありましたか?

進めていく中で一番ケアしたのは、雇用条件のところですね。当法人の賃金テーブルと先方の水準にギャップがあったんです。先方で給与が高い方がいて、同額を出すなら役職者扱いが前提になりますが、現状は非役職。ここは色んな観点で考える必要がありました。

事業譲渡では原則、雇用契約を巻き直す必要がありますからね。どうやって合意形成されたんですか?

お相手の代表者には、当法人の基準で責任者を担っていただくことで合意しました。ほかの職員さんについては先方の代表者から丁寧に説明してもらい、理解を得ることができて。相手の立場で考えて、誠実に話し合うことが大事なんやな、と色々勉強になりました。

すこしイレギュラーですが、職員のみなさん全員とクロージング前に個別合意が取れたことはよかったですよね。

そうそう。訪問介護は、ご利用者様が担当者に紐づいている側面もあるから、ご利用者様にとっても職員さんにとってもいい結果になったと思います。いろいろと動いてもらって、先回りで合意が取れたからこそ、安心して進めることができました。

Q3:成約が完了した当時の率直なご感想を教えて下さい

相談があってから約3ヶ月間で契約に至りましたが、契約の日はどんな気持ちでしたか?

そっか、あれは3か月間くらいやったんやね。早かったように感じています。初めてのM&Aが成立してよかったと思う一方で、福祉業界で利益を出す難しさを改めて考えさせられました。一定規模を維持・拡大しないと、届けたい福祉サービスを続けらないということを意識する契機ともなりました。

Q4:その後、引き継ぎやPMI(経営統合)はいかがですか?

事業を譲り受けてから1年くらい経つと思うのですが、その後どうですか?

うまくいっています。仕事の考え方や進め方の違いで、もともといた職員と新しく入った職員で問題が起きるかと想定していたんですが、懸念していた諍いはほとんどなかったですね。それは、もともと代表だった方が新しく入った職員に細かく声かけをしていたことが大きかったですし、従来のやり方に現実的な改善を重ねてくれたことがが大きいと感じています。一緒に仕事を進めながら、新しいやり方を相互に少しずつ浸透させる形で、組織の空気も良い方向に変わっています。

今後も、M&Aを行いますか?

そうですね、お互いにとっていい話があるのであれば、前向きに検討したいです。地域で“必要な支援を継続して届ける”ために、規模の維持・拡大とサービスの質向上、どちらも頑張っていきたいと思います。

インタビューに答えてくれた理事長

M&A(事業の譲り受け)をしてみて、複数の職員さんが新しく入ると、施設も変わっていくということを経験することができました。出来ることやアプローチ方法が増えることは、ご利用者様へのサービス向上に繋がります。M&Aに限った話ではありませんが、「新しい何かを取り入れ、ご利用者様に還元していく」、ポジティブな循環を組織に定着させていきたいと思います。

この記事を監修した担当者

株式会社Buyside Bank 代表取締役
M&Aアドバイザー

吉川 翔

1984年 大阪府堺市生まれ。㈱リクルートに新卒入社。求人広告の営業、組織コンサルタント、EC事業の営業組織マネジャーなどを歴任。2016年に大手上場M&A仲介会社に転職。M&Aアドバイザーとして在籍1年半の間に11件の成約をサポート。M&Aの実行支援フェーズだけでなく、「経営者が意思決定を行うタイミングからサポートしたい」と考え、2018年5月に㈱Buyside Bank創業。「気軽にM&Aのことを聞いてもらえて、M&A以外の選択肢を含めて相談できる存在になること」を目指す。年間およそ100人以上の経営者と面談し、創業から2025年4月までの7年間でM&Aアドバイザーとして約40件のM&A成約を支援する。

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