M&A検討し始めてから、たしかに本業が疎かになっていたかも。

  • ご相談の目的 : 売却・譲渡する
  • ご相談の時期 : M&A前のご相談
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Case.003 30代 経営者

「M&Aでの売却を検討し始めた半年前から、じつはちょっと業績が落ちてきているんです」。面談中に何げなく悩みを打ち明けてくださった経営者の方に、「M&A会社に依頼して動き出すと、本業への集中が乱れやすい」という現象についてお伝えしました。実際に多くの経営者が経験するリスクと、その背景にある心理的な動きについてご説明した事例です。

目次読了目安時間 : 約 2 分

ご回答したこと

「売れるかも」という期待が、本業の集中力を静かに奪うこともあります。

M&A会社に依頼して動き始めると、ある心理的な変化が起きるケースがあります。
「もしかしたら売れるかもしれない」という期待感が生まれ、そちらに意識が向き始めるんですね。
これは特別な人だけに起きることではありません。私がこれまで関わってきた経営者の方々を見ていると、売却活動中に本業への意欲が落ちてしまうケースは珍しくありませんでした。感覚値では、2-3割に近い経営者さんが多かれ少なかれこの影響を受けているように思います。
例えば、こんな状態に陥ったというお話を聞きました。
・「新規の営業活動について社員と話す機会が減り、動きが鈍くなった」
・「採用や設備投資の判断を『売却後でいいか』と先送りしてしまった」
・「現場よりも、M&A会社とのやり取りに時間を使うようになっていた」
その結果、業績が落ちてしまうと、売却価格にも悪影響が出ます。
「売りたいのに、売るための活動が売却価格を下げる」という、本末転倒な状況になりかねません。
依頼するかどうかを決める前に、こうした心理的リスクも頭に入れておくことは大切です。

M&A活動中に本業への意欲が落ちるケースは、感覚値で2〜3割に上ります

お伝えしたこと

本業を磨くと、いつでも譲り渡せる状態になります。

実際にこんな事例があります。
コロナ禍で売上が激減したアパレル会社の経営者が、売却を検討してご相談にいらっしゃいました。
売却の主な動機は、事業の不安解消です。
しかし、株式価値を試算してみると、売却価格と今後必要になる金額感が全然合わない。
そこで今は売却することではなく、ご相談者は、事業の磨きこみをすることを決断されました。
商品ラインを絞り、コストを見直し、売れるものに選択と集中を行う。その結果、コロナ禍以前を上回る売上を取り戻されました。
後日「あの時売らなくてよかった」「いつでも売れる状態をつくることが必要だったんだ」と振返りされていました。
これは一つの事例ですが、「不安だから売りたい」という動機だけで動くと、売却後に新たな不安がやってくることも多いです。
手元に入ったお金が想定より少なく、次の収入源もない——そうなると、売却前より精神的につらい状況になることもあります。
売却をすこしでも検討するのであれば、ぜひ、会社をいつでも譲り渡せる状態に磨くことを意識されるとよいと思います。

「いつでも譲渡できる状態」をつくることが、不安を解消する最善の準備になります

ざっとまとめると

本業を磨くことが、いつでも譲り渡せる安心につながります

  • M&A活動開始後に本業への意欲が落ちることがあります
  • 「売れるかも」という期待感が静かに集中力を奪います
  • 業績が落ちると売却価格にも悪影響が出る悪循環に注意が必要です
  • 不安だけを動機に売却を急ぐと売却後により不安になることがあります
  • いつでも売れる状態に会社を磨くことが、最善の準備になります

この記事を監修した担当者

株式会社Buyside Bank 代表取締役
M&Aアドバイザー

吉川 翔

1984年 大阪府堺市生まれ。㈱リクルートに新卒入社。求人広告の営業、組織コンサルタント、EC事業の営業組織マネジャーなどを歴任。2016年に大手上場M&A仲介会社に転職。M&Aアドバイザーとして在籍1年半の間に11件の成約をサポート。M&Aの実行支援フェーズだけでなく、「経営者が意思決定を行うタイミングからサポートしたい」と考え、2018年5月に㈱Buyside Bank創業。「気軽にM&Aのことを聞いてもらえて、M&A以外の選択肢を含めて相談できる存在になること」を目指す。年間およそ100人以上の経営者と面談し、創業から2025年4月までの7年間でM&Aアドバイザーとして約40件のM&A成約を支援する。

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