ご回答したこと
事業単体の価値と相乗効果の価値、それぞれ分けて試算可能です。
M&Aにおける買い手側は、当然のことながら決算書や試算表をベースに財務視点の評価をしていきます。そして、その財務結果の裏付けとなる事業実態を確認しますので、売り手側が情報提供するときには、例えば「今の役員がいなくなっても事業は回る」という事業の持続性を伝えること等は一つのポイントになってきます。
これらは事業単体、いわゆるスタンドアローンの事業価値を説明する際の視点です。買い手側はこの視点で、「投資額を何年で回収できるか」「いくらくらいが妥当か」とシミュレーションを重ねていきます。
一方で、相乗効果、いわゆるシナジーの価値を買い手側が評価するケースもあります。それは例えば、一次請け契約だったり、特殊なお客様を抱えていたり。売り手側が持つ希少な資源を活用することによって、買収側が利益を得られるようであれば、その価値も評価額に反映されることがあります。
売り手側がやるべきことは、「想定される買い手は、自社の希少資源を使って何ができるのか」を先回りして見立てることです。たとえば、顧客シナジーを検討するのであれば、想定する買い手側が持つ別のサービスを自社顧客に案内した場合、どれくらいの割合で新たに利用してくれそうか。その掛け算で、データベースという資産そのものの価値を試算することができます。
お伝えしたこと
買い手が検討しやすいように、Factづくりをすることは有効です。
シナジーの見立てには、ひとつ弱点があります。それは「絵に描いた餅」になりやすいということです。
例えば、コンバージョン率(自社顧客が買い手側のサービスを利用する割合など)は、提案している段階ではあくまで予測の数字にすぎません。
買い手側からすると、根拠のない予測に基づいた高い金額は、なかなか受け入れづらいものです。
そこで有効なのが、M&Aを実行する前に小さく試してみることです。
たとえば、顧客の一部に対して、実際に提携先のサービスを案内してみる。
そして「これだけの割合の方が実際に利用してくれました」という事実(Fact)を、提案時にあわせて示す。
理屈だけで「きっとこうなるはずです」と伝えるよりも、「実際にやってみたら、こうなりました」というFactのほうが、買い手側の社内稟議でも説得力を持ちます。
特に決算ベースで判断する財務担当者に対しては、この事実の有無が評価の分かれ目になりやすい部分です。
ざっとまとめると
資産価値は、買い手視点で説明することが重要です
- 想定される買い手のシナジーから、価値を逆算しましょう
- シナジーの見立ては、事実(Fact)があると説得力が増します
- 譲渡に備えて、小さく試して事実(Fact)をつくることも一手です



