M&A業界別のポイント

建設業界M&Aの最新動向と成功させるためのポイント|事例から学ぶ事業承継・人手不足解消への最適解を徹底解説!【2025年最新】

  • 作成日

  • 更新日

目次読了目安時間 : 約15分

近年、建設業界では後継者不足や人手不足が深刻化しており、多くの企業が事業承継の課題に直面しています。

そこで注目されているのが、M&Aを活用した経営戦略です。

建設業におけるM&Aは、単なる企業の売買ではなく、技術やノウハウの継承、人材の確保、そして事業の持続的な成長を実現する有効な手段として認識されています。

本記事では、2025年最新の建設業界M&A動向から、成功事例に基づく実践的なポイントまで、事業承継や人手不足解消に悩む経営者の方々に向けて詳しく解説していきます。

建設・土木・舗装・測量・点検業界の買収ニーズ一例

建設業界の現状とM&Aが増加している理由

建設業界の現状とM&Aが増加している理由

建設業界とは、住宅やビル、道路、橋梁など社会インフラを構築する産業で、日本経済において重要な役割を担っています。

建設業法では、建設工事を専門性に応じて細かく分類しており、以下の表のように、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事、そして27の専門工事を合わせた合計29業種が定められています。

呼び方 種類
一式工事 総合建設業 土木一式工事、建築一式工事の2つ
専門工事 専門工事業者 大工工事業、左官工事業、とび・土工・コンクリート工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業など29業種

参照:国土交通省の建設行許可制度

この建設業界では、近年の傾向として、経営者や技能労働者の高齢化が急速に進んでおり、若年層の入職者不足や事業承継が業界全体の課題となっています。

帝国データバンクの「全国「社長年齢」分析調査(2024年)」によれば、建設業の経営者の平均年齢は60歳を超えており、後継者不在の事業者件数も高い水準にあります。

加えて、深刻な人手不足により、単独での事業継続が困難な中小建設会社が増加しています。

こうした背景から建設業のM&Aは、事業を存続させ、従業員の雇用を守りながら、技術やノウハウを次世代に継承する有効な選択肢として注目されており、国土交通省も建設業の事業承継支援を推進しており、M&A活用が推奨されています。

ここでは、このように建設業界でM&Aが増加している理由について、以下でそれぞれ解説していきます。

深刻化する人材不足と高齢化によるM&Aの増加

上記でも触れた通り、建設業界では経営者の平均年齢が60歳を超え、技能労働者の高齢化も顕著になっています。

さらに、厚生労働省の統計によれば、建設業就業者の約3割が55歳以上であり、若年層の入職率は低迷しています。

この状況下で、後継者不在の企業が単独での事業継続を断念し、M&Aによる事業承継を選択するケースが急増しています。

国土交通省のデータでも、建設業における人材確保の困難さが示されており、M&Aは人材と技術を一体的に承継できる有効な解決策となっています。

特に、地方の中小建設会社では、この傾向が顕著に見られます。

事業承継問題の深刻化によるM&Aの増加

帝国データバンクの「全国「後継者不在率」動向調査(2024年)」では、建設業界では経営者の高齢化に加え、後継者不在率が約6割という結果が出ています。

なかでも、親族内承継が難しい場合、廃業を選択する企業も多く、技術の喪失や雇用の消失が社会問題化しています。

こうした状況下で、M&Aは事業と雇用を守る現実的な解決策として選ばれています。

中小企業庁も事業承継支援策を強化しており、M&Aマッチング支援を積極的に推進しています。

受注競争激化と収益性の課題によるM&Aの増加

上記で挙げた2つの理由のほか、建設業界では公共事業の減少により、建設業界では受注競争が激化しています。

公共事業関係費の推移を見ると、1997年のピークから2012年まで減少し、2013年以降の10年間はほぼ横ばいとなっています。このように、限られた案件を多くの企業が争う状況下で、価格競争に巻き込まれ、利益率が低下する企業が増加しています。

特に中小建設会社では、大手企業との競争で不利な立場に置かれ、単独では収益性の向上が困難な状況です。

このため、より大きな資本力や技術力を持つ企業とのM&Aを通じて、競争力を強化し、収益性を改善する動きが加速しています。

中小企業庁でもM&Aによる経営基盤強化を支援しています。

建設業M&Aの最新動向と市場環境によるM&Aの増加

建設業M&Aの最新動向と市場環境によるM&Aの増加

ここまで説明した通り、建設業界では経営者の高齢化と後継者不足が加速しており、事業承継を目的としたM&Aが増加しています。

ここでは、こうした建設業のM&Aの最新動向について解説していきます。

2025年の建設業界再編の動き

建設業界では、2025年に向けて業界再編が加速しています。

2024年問題による労働時間規制の本格化や、高齢化による技術者の引退が重なり、企業の統合や買収が活発化しているのです。

国土交通省の調査によると、建設業就業者の約3割が55歳以上となっており、事業承継の緊急性が高まっています。

特に中小建設会社では、後継者不在率が約60%であり、M&Aによる事業継続を選択する企業が増加傾向にあります。

建設業M&A件数の推移と増加背景

建設業界におけるM&A件数は、2010年以降右肩上がりで増加傾向にあります。

この背景には、経営者の高齢化による事業承継ニーズの高まりがあります。

中小企業の経営者の平均年齢は2024年時点で60.7歳に達しており、後継者不在率は約50%超とされています。

また、人手不足の深刻化により、技能者確保を目的とした買収も増加しています。

さらに、建設需要の変動や公共工事の減少に対応するため、事業規模拡大や地域展開を図る戦略的M&Aも活発化しています。

建設業界全体の市場規模と今後の展望

国土交通省によると、2025年の建設投資額の見通しは75兆円超で前年の73兆円超から増加しており、インフラ老朽化対策や防災・減災事業により今後も安定した需要が見込まれています。

2025年以降は、大阪・関西万博や首都圏の再開発プロジェクトなど大型案件が控えており、市場は引き続き堅調と予測されています。

一方で、労働人口の減少により施工能力の確保が課題となっており、企業統合による経営効率化が急務となっています。

建設業でM&Aをするメリット

建設業でM&Aをするメリット

建設業界において、M&Aは売り手・買い手双方に大きな利点をもたらす戦略的手法として注目されています。

売り手企業にとっては、「後継者不足の解決や従業員の雇用維持、創業者の利益確保といったメリットがあります。

一方、買い手企業は、「即戦力となる人材の獲得、施工実績や技術ノウハウの取得、事業エリアの拡大」など、短期間での事業基盤強化が可能です。

中小企業庁でも事業承継の重要性が示されており、建設業における円滑な承継手段としてM&Aの活用が推奨されています。

特に、人手不足が深刻化する建設業界では、M&Aによる人材確保は企業存続の鍵となっています。

ここでは、こうした建設業界におけるM&Aのメリットについて、以下で売り手側と買い手側に分けて解説していきます。

売却側企業のメリット

建設会社を売却する側には、主に次のような重要なメリットが存在します。

売却側のメリット具体的な内容
事業承継・後継者問題の解決 身内に後継者がいない場合でも、企業を存続させ、事業と技術を次世代へ引き継ぐことができる。
資金面(売却益)の獲得 現経営者は、売却によってリタイア後の生活資金や次の事業への資金を得られる。
事業継続・廃業コストの回避 廃業にかかる費用(解体費、債務整理費用など)を回避できる。
従業員の雇用の維持・待遇改善 従業員全員の雇用が守られ、安心して働き続けられる環境が確保される。 また、資金力や経営基盤の安定した大手企業の傘下に入ることで、従業員の待遇や福利厚生が向上する可能性がある。
経営資源(個人保証の解除) 経営者が抱える借入金の個人保証を解除できる場合が多く、経営者個人のリスクから解放される。

この中で、大きな利点として挙げられることは、後継者不足の問題を解決できることです。

このようにM&Aを活用することで、適切な承継先を見つけ、従業員の雇用を守りながら事業を継続できることや、売却による資金獲得により、経営者の老後資金の確保や債務の整理に役立てることができます。

買収側企業のメリット

買い手企業のM&A実施によるメリットも、次のように多岐にわたります。

買い手側のメリット 具体的な内容
熟練技術者・専門人材の確保 深刻な人手不足の中、即戦力となる技術者や現場監督を一度に確保できる。
特定技術・ノウハウの獲得 自社にない特殊な工法や専門的な許認可(例:特定建設業許可等)を獲得できる。
営業エリアの拡大 新しい地域の営業基盤や既存の優良な顧客ネットワークを即座に手に入れられる。
シナジー効果の創出 既存事業と統合することで、仕入れの効率化(コスト削減)や、人材の相互活用などによる利益率増が期待できる。
受注機会の増加 大規模な工事や複合的な案件に対して、グループ全体で対応できる体制となり、競争力を強化できる。
時間短縮 新規事業の立ち上げや、一から人材を採用・育成するよりも圧倒的に早く事業基盤を確立できる。

この中でも、即戦力となる技能者を一度に確保でき、長年培われた施工技術や安全管理のノウハウを継承できる点や、自社の営業拠点がない地域へスピーディーに事業展開できるというメリットは大きな利点といえるでしょう。

国土交通省も建設業の担い手確保を重要課題としており、M&Aは効果的な解決策として位置づけられています。

弊社にお問い合わせを頂いた建設業の方々も、買主様は「人材確保(現場技術者・経営管理責任者など)」「入札権利」の獲得をメインにご相談を頂くことが多いです。売主様は、「M&A自体が縁遠い存在」と認識されている方が多く、まだまだメリットをご存じない方も多数いらっしゃいます。

建設業M&Aのデメリットと注意点

建設業M&Aのデメリットと注意点

建設業のM&Aには多くのメリットがある一方で、慎重に検討すべきデメリットや注意点も存在します。

例えば、従業員の雇用不安や企業文化の違いによる摩擦が生じる可能性や、簿外債務や契約上のトラブルが後から発覚するリスクがあります。

中小企業庁の事業承継ガイドラインでも、デューデリジェンス(買収監査)の重要性が指摘されています。

特に建設業では、建設業許可の承継手続きや、労働法規の遵守、工事契約の引き継ぎに関する法的確認が必要不可欠です。

さらに、取引先や元請け企業との関係維持も重要な課題となります。

このようにM&Aにおけるデメリットや注意点について、以下で売り手側と買い手側に分けてご紹介します。

売り手側のデメリット

建設会社を譲渡する際には、次のようないくつかの注意すべき点が存在します。

売り手側のM&Aデメリット 注意点
人材流出リスク 従業員の雇用条件や処遇が変更され、優秀な人材が離職する懸念がある。
取引関係の悪化 既存の取引先や協力会社との信頼関係が損なわれる可能性がある。
譲渡価格の低迷 期待より低い譲渡価格になるケースがある。
文化・方針の喪失 譲渡後の経営方針により、長年の企業文化や裁量が失われる。
譲渡益への課税 株式や事業の売却益に対し、多額の税金が発生する。
経営者保証の残存 会社借入に対する個人保証がすぐに解除されないリスク。

このようなデメリット(リスク)を回避し、M&Aを成功させるためにも以下のような点で、事前に対策を講じることが重要です。

  • 早い段階でのM&Aに関する知識のインプットと実行に向けた準備
  • 契約書での保証と保護
  • 税務・法務の早期相談

中小企業庁の事業承継ガイドラインでも、これらのリスクへの事前対策の重要性が指摘されていますので、しっかりと目を通しておきましょう。

買い手側のデメリット

買収を検討する企業には、次のようないくつかのリスクが伴います。

買い手側のM&Aデメリット重要な注意点
潜在的リスクの引継ぎ DDで見抜けなかった簿外債務や未払いの残業代などを引き継ぐ。
人材の定着失敗 買収後に熟練技術者や現場監督が離職し、事業価値が低下する。
協力関係の崩壊 売り手企業の協力会社ネットワークが離反し、現場が回らなくなる。
PMI(統合)の失敗 企業文化が合わず、組織が混乱し、シナジー効果が得られない。
許認可の維持不可 買収後の体制変更により、建設業許可の要件を欠く可能性がある。
工事契約のリスク 過去の工事や進行中の工事で瑕疵担保責任を追及されるリスク。

上表の中でも、買収対象企業の経営管理責任者が建設業法上の要件を満たしていないなどで、建設業許可の承継ができないケースがあります。

また、売り手企業による財務状況の不正な操作(粉飾決算のリスク)などもあります。

このようなデメリット(リスク)を最小限に抑え、M&Aの成功確率を高めるために、特に以下の対策が不可欠です。

  • 徹底したデューデリジェンス
  • PMI(経営統合)の事前計画
  • 契約上のリスクヘッジを明確に定める

また、国税庁によると、買収時の適正な税務処理も重要です。

さらに、建設業許可の承継手続きが複雑で、許可取得までに時間がかかるケースもあります。

取引先との関係維持や、企業文化の違いによる経営統合の困難さも考慮すべき点です。

デューデリジェンスを徹底し、専門家のサポートを受けることも重要になります。

建設業M&Aの価格相場と算定方法

建設業M&Aの価格相場と算定方法

建設業のM&Aを検討する際、最も気になるのが自社の評価額でしょう。

建設業の企業価値算定には、時価純資産法、DCF法、類似会社比較法などの手法が用いられます

一般的に、建設業では年倍法(純資産+営業利益×1~5年分)が多く採用されています。

中小企業庁の事業承継ガイドラインによれば、中小建設業の評価では収益性・保有資産・技術力が重視されます。

価格相場は企業規模や地域により大きく異なり、売上高1億円未満で数千万円、10億円規模で数億円程度が目安となります。

正確な企業価値算定は専門家への相談が不可欠です。

取引事例法による評価

建設会社の企業価値を算定する方法として、実際の市場取引価格を参考にする手法があります。

この手法では、類似する建設会社のM&A取引価格や上場企業の株価を基準として、評価対象企業の適正価値を導き出します。

具体的には、売上高や営業利益などの財務指標に対する倍率を用いて計算を行います。

国税庁の財産評価基本通達でも、類似業種比準方式として同様の考え方が示されています。

ただし、建設業界では企業規模や専門工事の種類によって収益性が大きく異なるため、比較対象の選定が重要なポイントとなります。

建設業特有の評価ポイント

建設業のM&A評価では、一般業種とは異なる独自の視点が求められます。

建設業許可の種類や等級、経営事項審査(経審)の点数が企業価値に直結します。

主な評価ポイントは以下の通りです。

  • 建設業許可の種類と有効期限
  • 経営事項審査(経審)の総合評定値
  • 技術者・有資格者の在籍数
  • 施工実績と受注残高
  • 主要取引先との関係性

上記の項目を用いた「算出する計算式」などはありませんが、買手側が検討時に特に重視するポイントとなります。つまり、これらの要素を総合的に判断し、企業価値の算定が必要です。

建設業M&Aを成功させるポイント

建設業M&Aを成功させるポイント

建設業界におけるM&Aを成功に導くためには、いくつかの重要な要素を押さえる必要があります。

最も重要なのは、デューデリジェンス(買収監査)を徹底的に行うことです。

建設業特有の許認可や契約関係、労務管理の状況を詳細に確認することが不可欠となります。

また、統合後の組織文化の融合や人材の定着も成功の鍵を握ります。

建設業では現場の技術者との信頼関係が事業の根幹となるため、丁寧なコミュニケーションと段階的な統合プロセスが求められます。

適切なタイミングの見極め

建設業のM&Aを成功させるには、市場環境や自社の状況を総合的に判断したタイミングの選択が極めて重要です。

経営者の年齢や健康状態、後継者の有無といった内部要因に加え、業界の需要動向や金融環境などの外部要因も考慮する必要があります。

国土交通省の「建設業の働き方改革」に関する資料によれば、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されており、この制度変更も重要な判断材料となります。

参考:国土交通省|建設業の働き方改革

また、企業価値が高い時期や買い手企業のニーズが高まっているタイミングを逃さないことが、より有利な条件での成約につながります。

M&Aを行う目的の明確化と事前準備

建設業でM&Aを検討する際は、まず自社がなぜM&Aを行うのか、その目的を明確にすることが最優先事項となります。

事業承継なのか、事業拡大なのか、あるいは人材確保なのか、目的によって最適な相手企業や進め方が大きく異なります。

目的が定まったら、次に自社の強みと弱みを客観的に分析し、企業価値を正確に把握する準備が必要です。

財務状況の整理、許認可の確認、契約関係の棚卸しなど、専門家のサポートを受けながら計画的に進めましょう。

企業価値の算定と磨き上げ

M&Aにおいて適正な企業価値を算定することは、交渉を円滑に進めるための第一歩となります。

建設業では、以下の要素を総合的に評価します。

  • 保有する建設業許可の種類と等級
  • 過去の受注実績と取引先との関係性
  • 技術者の人数と資格保有状況
  • 財務状況と収益性

企業価値の「磨き上げ」とは、売却前に企業価値を高める取り組みを指します。

財務体質の改善や業務プロセスの標準化、不要資産の整理などを行うことで、より高い評価を得られる可能性が高まります。

M&A先の探索と交渉

適切なM&A相手を見つけるためには、複数のルートを活用することが重要です。

M&A仲介会社やマッチングプラットフォームの利用が一般的ですが、業界団体や金融機関のネットワークも有効な情報源となります。

交渉段階では、自社の強みや譲れない条件を明確にし、相手企業との相乗効果を具体的に示すことが成功の鍵となります。

価格交渉だけでなく、従業員の雇用維持や取引先との関係継続など、両社にとってメリットのある条件設定を心がけましょう。

弊社にご相談を頂くパターンの中でも「知人の経営者に譲りたいが進め方がわからない」というご相談を頂く場合も多々あります。その場合の進め方にもポイントは存在しますが、上記の「条件設定」は必ず進める前に整えるポイントになります。

徹底的なデューデリジェンス

M&Aを進める際には、対象企業の財務状況や法的リスクを詳細に調査する必要があります。

建設業特有の確認項目として、建設業許可の取得状況や経営事項審査の評点が挙げられます。

特に、建設業においては確定申告をご自身で行う経営者の方も多くいらっしゃいます。その方々は、以下の項目を重点的にチェックしましょう。

  • 過去3年分の確定申告・決算申告書類の整合性
  • 工事契約書と売上計上時期の適切性
  • 外注費と給与の区分処理
  • 簿外債務の有無

これらの確認を怠ると、統合後に想定外の税務リスクが発生する可能性があります。

PMI計画の重要性

M&A成立後の統合プロセスを計画的に進めることが、買収効果を最大化する鍵となります。

PMI(Post Merger Integration)は、経営統合後100日間の取り組みが成否を分けると言われています。

建設業では以下の点を重点的に計画すべきです。

  • 技術者の雇用条件と処遇の明確化
  • 取引先との関係維持策
  • 許認可の承継手続き
  • 経営理念の共有方法

適切なPMI実施は事前の計画が不可欠です。M&Aの実行後に検討するのではなく、実行の前段階から論点を整理し、それぞれに対して具体的な打ち手とスケジュールを作成されることをお勧めします。

専門家の活用方法

建設業のM&Aでは、複雑な法務・税務・労務の問題が絡むため、各分野の専門家を適切に活用することが不可欠です。

M&A仲介会社、公認会計士、弁護士、税理士などの専門家チームを編成することで、リスクを最小化できます。

特に確定申告をご自身で行う経営者の方が、M&Aを実行する場合は、「事業譲渡」となるため、M&A時の税務処理が複雑になります。M&Aの実行を進める場合、開始後の早い段階で税理士へ相談することをお勧めします。

また、各専門家の役割を明確にし、定期的な情報共有の場を設けることで、スムーズな取引進行が可能となります。進め方について疑問が生じる場合は、セカンドオピニオンなど、M&Aにおける別の視点を持った専門家に助言を求めることも重要となります。

建設業M&Aの売却・買収案件の探し方

建設業M&Aの売却・買収案件の探し方

建設業界でM&Aを検討する際、適切な案件を見つけることが成功への第一歩となります。

案件の探索方法には、M&A仲介会社の活用、金融機関からの紹介、マッチングプラットフォームの利用など、複数の選択肢があります。

中小企業庁が運営する事業承継ポータルサイトでは、事業承継に関する情報提供も行われています。

また、専門家のネットワークを通じた情報収集も有効で、税理士や公認会計士といった専門家は、クライアント間での案件紹介を行うケースも少なくありません。

自社のニーズや予算に合わせて、最適な探索方法を選択することが重要です。

士業の専門家の中でも、建設業の許認可取得でサポートされる「行政書士」の先生にも案件の情報が集まることも特徴的です。弊社でも、行政書士の先生からのご紹介も増加しています。

M&Aマッチングプラットフォームの活用

近年、建設業界のM&Aにおいてデジタルマッチングサービスの利用が急速に拡大しています。

従来は仲介会社を通じた相手探しが主流でしたが、オンラインプラットフォームを活用することで、全国の案件情報に効率的にアクセスできるようになりました。

<主なプラットフォームの特徴>

  • 登録案件数が豊富で希望条件に合う相手を探しやすい
  • 匿名での情報交換が可能で情報漏洩リスクを軽減
  • 専門家によるサポート体制が整備されている

特に確定申告を自身で行う個人事業主の方が建設会社のM&Aを検討する際、これらのプラットフォームの活用をされている方は増加しています。この様なプラットフォームを活用すれば、M&Aに関する専門知識がなくても情報収集を行うことができます。

仲介会社の選び方

M&A仲介会社を選定する際は、建設業界に特化した実績と専門知識を持つかどうかが重要なポイントとなります。

中小企業庁の事業承継支援でも、専門家選びの重要性が指摘されています。

確認すべき主な項目は以下の通りです。

M&A仲介業者を選択する上でチェックするポイント例
実績 建設業界での成約件数・事例の豊富さ
報酬体系 着手金・成功報酬の明確性と適正性
サポート体制 初期の論点の整理から相手方の探索方法 デューデリジェンスや契約交渉への対応力や 専門家ネットワークの有無

いくつかの仲介会社と面談し、自分自身に寄り添ってくれるか・自社のニーズに適しているかという観点からパートナーを選択することが成功への近道です。

当社の建設業界におけるM&A仲介事例

【事例1】社員と経営を評価してくれるお相手がいたから、 解散ではなく、M&Aを選択

土木工事・道路舗装会社を株式譲渡した50代オーナー夫婦事例

ある地方の舗装会社様で「公共入札の実績」と「熟練した若手技術者」を組織として保有している会社様でした。ただ、後継者である息子様が「会社を承継しない」ということが決まったタイミングで「この会社は解散しかない」と心で決められていました。

その中で、たまたま出会った奥様のご友人の紹介で弊社と面談をすることとなり、初期の段階で「夫婦で実現したい夢」の話をお聞きしました。その夢の実現の為に必要な資金のイメージなどをすり合わせていくと、夫婦で決めていた解散の時期には間に合わない結果となっていました。

そこで御夫婦からは「遠い存在」であるM&Aという手法の中で、会社の評価をしてみることにされました。結果として解散時に想定していた手残り額とは全く異なる金額評価となり、M&Aをチャレンジされました。

ご相談から9ヶ月でM&Aの完了まで進み、「従業員の方々が働きやすい会社にしたい」と買手に譲渡が実現出来ました。

譲渡後は、会長として1年間勤務され、若手従業員やキーマンである従業員との「人としての関係性」を買手に引き継ぐことが出来ました。今でも従業員の方々は元気に現場仕事に取り組まれている状況となっています。

建設業界におけるM&Aに関してよくあるご質問

Q:経営者である自分自身が「親方」となっており、会社のM&Aなどを進めると従業員が辞める可能性があるが、その場合は実行を決断する前に従業員に相談したほうが良いか?

A:M&Aの実行前に従業員の方に相談される経営者の方は基本的には少ないです。理由は、「どうなるかわからない不安」を従業員の方に与えることになり、M&Aの実行前に「不安からの退職」に繋がってしまうこともあるからです。従業員の離脱は「M&Aの実現」の可能性を下げてしまうことに繋がりますので、この点は慎重に検討が必要です。
また、事前に開示せずとも従業員の方がM&Aの実行後に離脱されたないケースもありますので、その進め方と事例はご紹介させて頂きます。

Q:自社には経営管理責任者として、社長である私しかいませんが、M&Aの実行は可能でしょうか?

A:経営管理責任者は「建設業のM&A」にとっては切り離せない論点となります。経営管理責任者になるためには「建設業に関する経営業務の管理経験が5年以上」必要となります。自社の従業員の方で管理経験の年数の確認や、要件を満たす方がいない場合でも、買手への条件として「経営管理責任者の登用」を最初から提示していれば、その後に大きな論点になりませんので、ご安心ください。

Q:今までは入札で順調に仕事がとれていたが、来年以降に入札で取れるかわからない。その中でも評価されるものなのか?

A:入札の実現が売上に直結するのは事実です。ただ、今までの実績や内部にいらっしゃる従業員の方の技術力・資格の有無など多岐にわたるポイントで買手は評価をしてきますので、「来年入札できるかわからないからM&A出来ない」ということにはなりませんので、ご安心ください。

まとめ

建設業界におけるM&Aは、事業承継や人手不足という経営課題を解決する有効な手段として、ますます重要性を増しています。

成功事例から学ぶポイントを押さえ、適切な準備と戦略を立てることで、企業価値を最大化しながら円滑な事業承継を実現できます。

建設業のM&Aをご検討中の方は、専門家のサポートを受けることで、より確実に目標を達成することができます。

当社では、建設業界に特化したM&Aのご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。