近年、戸建て住宅業界におけるM&Aが活発化しています。人口減少や市場の成熟化に伴い、企業は生き残りをかけて事業拡大や効率化を図る必要に迫られているためです。
買収側にとっては、新たな市場への参入や技術力の獲得というメリットがあり、売却側には後継者問題の解決や従業員の雇用維持といった利点があります。
本記事では、戸建て住宅業界における最新のM&A動向から、買収・売却それぞれのメリット、さらには実際の成功事例まで詳しく解説します。事業承継や企業価値向上を検討されている経営者の方々に、具体的な判断材料を提供いたします。
住宅業界の現状と課題

日本の住宅市場は、少子高齢化による人口減少と新設住宅着工戸数の減少という大きな転換期を迎えています。国土交通省の統計によると、新設住宅着工戸数は長期的な減少傾向にあり、業界全体の縮小が避けられない状況です。
主な課題としては以下が挙げられます。
- 市場規模の縮小による競争激化
- 職人不足や高齢化による人材確保の困難
- 原材料費・労務費の高騰による収益圧迫
- 後継者不在による事業承継問題
- 環境規制強化への対応コスト増
特に中小規模の住宅事業者においては、これらの課題が経営を圧迫する要因となっています。国土交通省の住宅着工統計でも、この傾向が明確に示されています。
そもそも住宅業界とは?
住宅業界とは、個人向け住宅の設計・施工・販売に携わる事業者全体を指します。戸建て住宅、マンション、リフォーム・リノベーションなど多様な分野で構成されています。
主な業態は以下の通りです。
| 業態と主な事業内容 | |
|---|---|
| ハウスメーカー | 大規模な住宅建築・販売 |
| 工務店 | 地域密着型の住宅建築 |
| 設計事務所 | 住宅の設計・監理 |
| 不動産会社 | 土地・建物の仲介・販売 |
| リフォーム業者 | 既存住宅の改修・改装 |
国内市場規模は2022年時点で約14.8兆円に達し、GDP全体の約3%を占める重要産業です。国土交通省の統計によると、令和3年時点で約48万社がハウスメーカーや工務店など住宅関連事業に従事しています。
新設戸建て住宅着工戸数の減少と新築戸建市場への影響
国土交通省の建築着工統計によると、新設戸建て住宅の着工戸数は2000年代以降、減少傾向が続いています。2024年度の新設住宅着工戸数は約79万戸と、ピーク時の半分以下に落ち込んでいます。
この減少が新築戸建市場に与える影響は深刻で、次のような課題があります。
| 戸建市場の主な過大 | |
|---|---|
| 市場競争の激化 | 限られたパイを奪い合う構造 |
| 価格競争の激化 | 利益率の低下 |
| 事業者の淘汰 | 中小事業者の廃業増加 |
特に地方の中小住宅事業者は受注確保が困難となり、M&Aによる事業承継や企業統合を検討するケースが増えています。
人材不足と後継者問題
戸建て住宅業界では、熟練職人の高齢化と若手人材の不足が深刻な経営課題となっています。国土交通省の調査によると、建設業就業者の約30%超が55歳以上であり、技術継承が喫緊の課題です。
特に中小規模の住宅会社では以下の問題が顕在化しています。
| 戸建て住宅業界の主な課題 | |
|---|---|
| 職人の高齢化 | 技術継承の断絶 |
| 若手入職者減少 | 将来的な人材枯渇 |
| 経営者の高齢化 | 後継者不在による廃業リスク |
帝国データバンクの調査では、2024年の調査において中小企業の約52.1%が後継者不在という状況です。このような環境下で、M&Aは事業継続と従業員雇用を守る有効な選択肢となっています。
資材不足と金利の上昇と住宅価格の高騰
近年、戸建て住宅業界は複合的な経済要因により厳しい経営環境に直面しています。
世界的なサプライチェーンの混乱により、木材や鉄鋼などの建築資材が深刻な不足状態となり、調達コストが大幅に上昇しました。さらに、日本銀行の金融政策の変更により住宅ローン金利も上昇傾向にあり、消費者の購買意欲に影響を与えています。また、賃金上昇の影響を受けて、人件費も年々上昇しています。
これらの要因が重なり、住宅の販売価格は高騰を続けています。国土交通省のデータによれば、新築戸建て住宅の平均価格は過去数年で10%以上上昇しており、中小住宅事業者にとっては利益確保が困難な状況です。
このような環境下で、規模の経済を活かせる大手企業との提携やM&Aが、生き残り戦略として注目されています。
技術革新とデジタル化の遅れ
住宅業界では、他産業と比較してデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が遅れている状況です。
多くの事業者が依然として紙ベースの図面管理や手作業による見積もり作成を行っており、業務効率化の余地が大きく残されています。
- BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入率の低さ
- 顧客管理システム(CRM)の未整備
- オンライン商談・VR内覧などの活用不足
- IoT技術を活用したスマートホームへの対応遅れ
特に中小事業者では、初期投資やIT人材不足がデジタル化の障壁となっています。経済産業省もデジタル化推進を呼びかけており、M&Aを通じた技術力の獲得が一つの解決策として注目されています。
ZEH・省エネ基準の義務化対応
2025年4月より、すべての新築住宅において省エネ基準適合が義務化されました。これにより、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の高断熱・高効率設備の導入が事実上必要となっています。
この義務化対応には大きな投資が必要です。
- 設計・施工技術者の育成費用
- 高性能建材・設備の調達コスト増
- 省エネ性能計算ソフトの導入
- 第三者認証機関への申請費用
特に中小事業者にとっては、これらの対応が経営上の大きな負担となっています。国土交通省の省エネ基準適合義務化に関する情報では、詳細な技術基準が公開されています。
M&Aによって資金力や技術力のある企業と統合することで、この義務化対応を効率的に進められるケースが増えています。
耐震・安全性の要求向上と災害リスクの高まり
東日本大震災以降、住宅の耐震性能や安全性に対する消費者の意識が大きく変化しています。国土交通省は新耐震基準の適合率向上を推進しており、既存住宅の耐震改修も重要課題となっています。
近年の気候変動による豪雨災害の頻発も、住宅業界に新たな課題をもたらしています。国土交通省の住宅・建築物の耐震化では、2030年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消する目標が掲げられています。
こうした状況下で、耐震技術や災害対策のノウハウを持つ企業の価値が高まっており、M&Aにおいても重要な評価ポイントとなっています。技術力の獲得を目的とした買収案件も増加傾向にあります。
住宅業界M&Aの最新動向

戸建て住宅業界では、2023年以降M&A件数が顕著に増加しており、業界再編の動きが加速しています。
国土交通省の統計によれば、住宅着工戸数は減少傾向にある一方で、企業間の統合や買収は活発化しています。この背景には以下の要因があります。
- 人口減少による市場縮小
- 後継者不在による事業承継ニーズの高まり
- 環境規制強化への対応コスト増大
- デジタル化投資の必要性
特に中小規模の工務店では、単独での事業継続が困難となるケースが増えており、大手ハウスメーカーや投資ファンドによる買収が目立っています。また、地域密着型企業同士の連携強化を目的とした対等合併も増加傾向にあります。
大手ハウスメーカーによる業界再編
戸建て住宅市場では、積水ハウスや大和ハウス工業などの大手企業による中堅ビルダーの買収が加速しています。
国土交通省の統計によると、新設住宅着工戸数は長期的な減少傾向にあり、大手各社は規模拡大による競争力強化を図っています。国土交通省のデータでは、市場縮小に対応するため、地域に根ざした工務店やビルダーを傘下に収める動きが顕著です。
この再編により、大手は地域密着型の販売網を獲得し、被買収企業は経営基盤の安定化と技術力向上を実現できます。特に後継者不在に悩む中小企業にとって、大手傘下入りは事業継続の有効な選択肢となっています。
地域工務店の事業承継ニーズ増加
全国各地の地域密着型工務店では経営者の高齢化が深刻化しており、事業承継が喫緊の課題となっています。
帝国データバンクの調査報告では、工務店経営者の平均年齢は60.3歳を超え、後継者不在率は約59.3%に達しています。親族内承継が困難な場合、M&Aによる第三者承継が有力な選択肢となります。従業員の雇用維持や取引先との関係継続、さらには創業者利益の確保といったメリットから、M&Aを選択する経営者が増加しています。
海外企業との資本提携の活発化
グローバル化の進展により、日本の戸建て住宅企業と海外企業との資本提携が増加しています。
特に北米や欧州の先進的な住宅技術を持つ企業との提携が目立ち、環境性能や省エネ技術の獲得を目的とした事例が多く見られます。
代表的な提携パターンとしては以下があります。
- 欧米の環境技術企業との資本業務提携
- アジア新興国の建材メーカーとの合弁事業
- 北欧のスマートホーム技術企業への出資
海外企業との提携により、最新技術の導入だけでなく、新規市場への進出機会も得られるため、今後さらなる活発化が予想されます。
戸建て住宅業界におけるM&A実施のメリット

戸建て住宅業界でM&Aを実施することで、企業は様々な経営課題を解決し、成長を加速させることができます。
買収側企業にとっては、新規エリアへの進出や顧客基盤の拡大が短期間で実現可能となります。また、優秀な人材や独自の施工技術、設計ノウハウを一度に獲得できる点も大きな魅力です。
一方、売却側企業には後継者不在問題の解決や、従業員の雇用維持といったメリットがあります。中小企業庁の事業承継支援でも、M&Aを活用した円滑な事業承継が推奨されています。
さらに双方にとって、経営資源の相互補完による競争力強化や、スケールメリットを活かしたコスト削減効果も期待できます。
買い手企業が得られるメリット
戸建て住宅業界において、M&Aを実施する買い手企業には複数の戦略的価値があります。
買い手企業が獲得できる主なメリットは、以下の通りです。
- 事業エリアの拡大:新たな商圏へ迅速に参入できる
- 技術・ノウハウの取得:独自の施工技術や設計力を短期間で獲得
- 顧客基盤の拡充:既存顧客リストやブランド力を継承
- 人材の確保:熟練した職人や営業担当者を確保
- 規模の経済:資材の一括調達によるコスト削減が可能
中小企業庁の事業承継ガイドラインによれば、M&Aは自社の弱みを補完し、競争力を高める有効な手段とされています。
特に人口減少が進む地方市場では、既存の販売網や地域密着型のネットワークを持つ企業を買収することで、新規参入のリスクを大幅に軽減できます。
売り手企業が得られるメリット
戸建て住宅業界における売却側の最大の利点は、後継者不在問題の抜本的な解決にあります。特に中小規模の住宅会社では、経営者の高齢化が進む一方で後継者が見つからないケースが増えています。
M&Aを活用することで得られる主なメリットは以下の通りです。
- 創業者利益の確保:株式譲渡により、経営者は適正な対価を得られます
- 従業員の雇用維持:買収企業の傘下で事業継続が可能となります
- 取引先との関係継続:既存の協力会社や顧客基盤を維持できます
- 個人保証からの解放:経営者の連帯保証が解除されます
中小企業庁の事業承継ガイドラインでも、M&Aは有効な選択肢として位置づけられており、近年は支援制度も充実しています。
弊社にご相談を頂く経営者の方でも、上記のメリットを正確に整理して把握されていらっしゃる方は多くありません。M&Aの情報はネット上でも探索は出来るものの、なかなか体系的にまとまっているわけではないからです。この情報を正確に整理することが、M&Aの成功に向けて必要な準備となります。
住宅業界におけるM&Aの成功事例

実際の取引事例を見ることで、M&Aの具体的な効果と成功のポイントが明確になります。
住宅業界では大手企業による地域ビルダーの買収や、異業種からの参入など、多様なパターンのM&Aが実施されています。中小企業庁の調査では、後継者不在だった優良工務店が同業他社に事業を承継し、従業員の雇用を維持しながら企業価値を高めた成功例も報告されています。
以下に、主な事例を紹介していますので、これらの事例から学ぶことで、自社に最適なM&A戦略を構築できるでしょう。
大手ハウスメーカーによる海外企業買収事例
日本の大手ハウスメーカーは、国内市場の縮小を見据えて積極的に海外企業の買収を進めています。
代表的な事例として、積水ハウスは2017年にアメリカの住宅開発会社ウッドサイド・ホームズを約6億ドルで完全子会社化し、北米市場での事業基盤を確立しました。また、大和ハウス工業も2013年以降、アメリカやオーストラリアで複数の不動産開発会社を買収し、グローバル展開を加速させています。
これらの買収により、各社は以下のメリットを享受しています。
- 現地の販売ネットワークと顧客基盤の獲得
- 海外市場における施工ノウハウの習得
- 為替リスク分散と収益源の多様化
このような事例は、国土交通省でも住宅産業の国際展開が重要施策として位置づけられています。
大手パワービルダーによる地域優良工務店の買収
全国展開を進めるパワービルダーが地域に根ざした優良工務店を買収するケースが増加しています。
この戦略により、買収側は地域での顧客基盤や信頼関係を即座に獲得でき、売却側は大手の資本力と営業網を活用して事業を拡大できます。
具体的なメリットは以下の通りです。
- 買収側:地域でのブランド力と顧客網の即時獲得
- 売却側:資金調達力の向上と従業員の待遇改善
- 双方:スケールメリットによるコスト削減
このような相乗効果により、両社の企業価値向上が実現されています。
総合不動産会社による高性能住宅設計・施工会社の買収
大手総合不動産企業が、高い断熱性能や省エネ技術を持つ住宅会社を傘下に収める動きが顕著になっています。
この戦略の背景には、2025年に施行予定の省エネ基準適合義務化があります。国土交通省が推進する脱炭素化政策により、高性能住宅の需要が急増しているためです。
買収側は技術力とノウハウを短期間で獲得でき、売却側は大手の販売網と資金力を活用して事業拡大が可能になります。実際に、環境配慮型住宅の設計・施工に強みを持つ中堅企業が、総合不動産会社の傘下に入ることで、年間施工棟数を3倍に増やした事例も報告されています。
技術承継と市場拡大を同時に実現できる、win-winの取引モデルといえます。
大手ハウスメーカーによるリフォーム専門会社のM&A
新築住宅市場の縮小を背景に、大手企業がストック型ビジネスへの転換を図る動きが顕著になっています。
例えば、積水ハウスは2022年にリフォーム事業を強化するため、木質建材を取り扱う大手メーカーを買収しました。
また、国土交通省のデータでは、既存住宅のリフォーム市場は今後も拡大が見込まれており、大手企業にとって魅力的な投資先となっています。
このようなM&Aは、買収側には安定収益の確保、売却側には経営資源の活用という双方にメリットをもたらしています。
工務店同士の統合事例
地域密着型の工務店が統合するケースは、双方の強みを活かした相乗効果を生み出す典型的なパターンです。
例えば、A工務店が持つ高い施工技術とB工務店の充実した営業網を組み合わせることで、受注から施工までの一貫体制を構築できます。経済産業省の調査によると、統合後の主なメリットは以下の通りです。
- 資材の一括購入によるコスト削減
- 人材の相互補完による技術力向上
- 営業エリアの拡大
- 財務基盤の強化
実際に、地方の老舗工務店2社が統合したケースでは、統合から3年で売上が1.8倍に増加し、従業員数も20名から35名へ拡大した成功例があります。
異業種企業による住宅業界参入事例
異業種からの新規参入により、住宅業界の競争環境が大きく変化しています。
代表的な事例として、IT企業や不動産テック企業による参入があります。
主な参入パターンは、以下の通りです。
- IT企業:IoT技術やAIを活用した住宅サービスの展開
- 商社:海外の建築技術や資材調達網の活用
- 金融機関:住宅ローンと建築サービスの一体提供
これらの企業は既存の住宅会社を買収することで、業界ノウハウを獲得しながら自社の強みを活かした新しいビジネスモデルを構築しています。
戸建て住宅業界におけるM&Aを成功させるポイント

戸建て住宅業界でのM&Aを成功に導くためには、事前準備と適切な戦略立案が不可欠です。
まず重要なのは、自社の企業価値を正確に把握することです。財務状況だけでなく、技術力や顧客基盤、ブランド力なども評価対象となります。
次に、M&Aの目的を明確化することが求められます。事業承継なのか、事業拡大なのか、それとも新技術の獲得なのかによって、相手企業の選定基準が変わってきます。
また、中小企業庁の事業承継ガイドラインにも記載されているように、専門家の活用も成功の鍵となります。M&Aアドバイザーや公認会計士、弁護士などの専門家チームを早期に構築し、デューデリジェンスを徹底的に行うことで、リスクを最小限に抑えることができます。
さらに、統合後のPMI(Post Merger Integration)計画も重要です。企業文化の融合や従業員のモチベーション維持に配慮した計画を立てることで、M&A後の事業運営を円滑に進められます。
買い手側の注意点とデューデリジェンス
戸建て住宅業界におけるM&Aの買収を成功させるためには、徹底したデューデリジェンス(買収監査)が不可欠です。対象企業の財務状況、法務リスク、事業の実態を詳細に調査することで、想定外のリスクを回避できます。
特に注意すべきポイントは以下の通りです。
- 財務デューデリジェンス:過去3~5年の決算書、資金繰り、簿外債務の有無
- 法務デューデリジェンス:建築基準法違反、契約書の瑕疵、訴訟リスク
- 事業デューデリジェンス:施工技術の水準、顧客基盤、人材の定着率
中小企業庁の事業承継ガイドラインでも、適切なデューデリジェンスの重要性が強調されています。専門家の支援を受けながら、慎重に進めることが成功への鍵となります。
売り手側の準備と企業価値向上策
M&Aで有利な条件を引き出すためには、売却前の入念な準備と企業価値の向上が欠かせません。
まず財務面では、決算書の整備や税務申告の適正化を行い、透明性の高い財務状況を示すことが重要です。
次に、以下の要素を強化することで企業価値を高められます。
- 顧客データベースの整備と契約関係の明確化
- 施工技術やノウハウのマニュアル化
- 優秀な人材の確保と育成体制の構築
- 建設業許可などの各種許認可の更新
さらに、事業計画書の作成も必要です。将来の成長性を具体的な数値で示すことで、買い手の投資意欲を高めることができます。
PMIの重要性と統合プロセス
M&A成立後の真の成否を分けるのが、PMI(Post Merger Integration:統合プロセス)です。
経済産業省の調査によれば、M&A後に期待した効果が得られない企業の多くは、統合プロセスでつまずいています。
統合プロセスでは以下の要素が重要となります。
- 経営理念・企業文化の融合
- 業務システムの統一化
- 人事制度の調整
- 顧客・取引先への適切な説明
特に戸建て住宅業界では、職人や現場スタッフの技術継承や、地域に根ざした顧客関係の維持が課題となります。統合計画は100日プランとして具体化し、経営陣が主導して実行することが成功の鍵です。
当社の住宅業界におけるM&A仲介事例
【事例1】買い手側の戦略と弊社の強みが合致し、 三度目の正直でM&Aの実現に

自社の経営状況や見通しの不安と、従業員の雇用の安定を目的にM&Aを検討されていました。実は、過去に大手のM&A仲介業者に2度も着手金も支払って相手探しを行いましたが、なかなか見つからず、「譲渡は難しいか…」と諦めかけていらっしゃいました。
弊社と出会ったときには上記の状況でしたが、自社の強みとして「狭小住宅向けの提案力」や「初期からのパースを使っての提案の具体的なイメージ作り」の業務フローをヒアリングを通して明確にし、この強みと本社エリアでの「実績」の3つをポイントとして買手を探索しました。
結果としてこの3つのポイントを経営戦略として探していた買手と出会うことが出来、M&Aの実行に至りました。
【事例2】サービス内容の相補効果と多店舗展開を見据えて、M&Aを決断

将来の上場を見据えて事業拡大を検討されていたリフォーム会社様で、顧客ターゲットが異なる同業のリフォーム業の会社を譲り受けました。
リフォームは「リペア」「リフォーム」「リノベーション」と、それぞれのお客様の目的によってサービス内容もサポート内容も異なります。自社ではメインターゲットを「リフォーム」「リノベーション」と設定していることから、「リペア」領域のお客様からの問い合わせは多くありませんでした。
そこで、自社とはブランドもサポート内容・サービス内容も異なるが、大きく「リフォームの同業」である会社の買収を戦略として検討されておられました。
今回買収をされたお客様は「リペア」領域でのサービスを確立されておられ、エリア内でも有名な企業様でした。この結果として、親会社ではタッチできなかった「リペア」のお客様にタッチすることが出来、将来に発生する可能性がある「リフォーム・リノベーションニーズ」に対してグループとして対応できるというPRの実現が出来ました。
また、グループ会社に「リペア」が出来る専門部隊を持ったことで、「リフォーム目的」のお客様にも「細かい修繕部分でも対応が出来る」というPRに繋がり、お客様の裾野を広げることにも成功しています。
住宅業界におけるM&Aに関してよくあるご質問
Q:経営者である自分自身が「親方」となっており、会社のM&Aなどを進めると従業員が辞める可能性があるが、その場合は実行を決断する前に従業員に相談したほうが良いか?
A:M&Aの実行前に従業員の方に相談される経営者の方は基本的には少ないです。理由は、「どうなるかわからない不安」を従業員の方に与えることになり、M&Aの実行前に「不安からの退職」に繋がってしまうこともあるからです。従業員の離脱は「M&Aの実現」の可能性を下げてしまうことに繋がりますので、この点は慎重に検討が必要です。
また、事前に開示せずとも従業員の方がM&Aの実行後に離脱されたないケースもありますので、その進め方と事例はご紹介させて頂きます。
Q:なかなか自社サービスの値上げがうまく出来ておらず、利益が出づらい状態になっていますが、評価はされるのでしょうか?
A:貴社の財務状態だけではなく、従業員の情報・サービス内容・商圏の状況分析など、ビジネス面での調査を行ったうえで評価の実施が必要です。財務の状態だけで評価額が決まるわけでは有りませんので、詳細な分析後に評価の有無を確認することが重要です。
Q:譲渡を検討していますが、チラシ配布などの費用はおさえて、利益が出るように見せるほうがよいでしょうか?
A:いいえ、通常の経営で必要な打ち手は打っていただきたいです。買手も「どのような打ち手を行ったうえで、どのような売上・利益になっているか?」を見に来られます。そのタイミングで「直近だけよく見せようとして費用を抑えている」ということは見抜かれ、むしろ「良くない評価」に繋がる可能性が高まります。あくまで「いつもと変わらない経営」を続けて頂き、さらに良くなる点がある場合の打ち手は講じていただきたいと思います。
まとめ
戸建て住宅業界では、市場環境の変化や後継者不足を背景に、M&Aを活用した事業承継や企業価値向上の取り組みが増加しています。
買収側は新規エリアへの進出や技術力の獲得、売却側は従業員の雇用維持や経営資源の最適化といったメリットを享受できます。
成功事例からも分かるように、適切な相手先選定と綿密な統合プロセスが成果を左右します。
住宅業界でのM&Aをご検討の際は、豊富な実績を持つ専門家への相談が重要です。
当社では、戸建て住宅業界のM&Aに関する無料相談を承っております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。