M&A・事業承継コラム

M&Aによる人材調達とは?Acqui-hireについても簡単に解説します

  • テーマ : 買収・合併・PMI

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M&Aは譲渡対象会社のサービスや仕組み、顧客基盤を獲得するだけでなく、それらを企画・実行してきた人材を雇用する「人材調達」の観点からも大きなメリットをもたらします。例えば、熟練の技術者集団とノウハウ、営業組織と顧客基盤、開発チームと新規事業など、業種によって注目する人材や副次的価値は異なります。ここでは、M&Aによる人材調達のさまざまな側面について詳しく考察します。
他エリアや周辺産業への進出とセットで人材調達を検討している企業様は、ぜひお問い合わせください。中期目標や方針をお伺いし、M&A要件整理や戦略立案のご提案を無料で行います。

目次読了目安時間 : 約4分

1. M&Aによる有資格者集団の獲得

売り手市場の様相をしている現在の求人市場において、建築士や施工管理、工事士、職人、大型自動車免許取得者、薬剤師、ケアマネ、保育士などの有資格者の採用は簡単ではありません。その一方で、職人として熟練した技術を持つ社員はいるものの、後継者不在等に悩む企業様は多くいます。そうした中、他エリアや周辺事業への進出とセットで有資格者の確保を重視する企業が、M&Aによる有資格者集団の獲得を前向きに検討しています。

1-1. 有資格者獲得が重要な業界

建設・建築業界、運送業界、調剤薬局、介護施設、保育施設など、資格が業務に直結する業界では、有資格者集団の獲得を目的としたM&Aが活発に行われています。

介護業界など、人材が不足気味の業界ではM&Aによる有資格者の獲得が期待されています

1-2. M&Aによる有資格者獲得のメリット

有資格者の確保が企業の成長に直結する場合、M&Aは即戦力人材を確保する有効な手段となります。特に、建築士や施工管理技士、薬剤師、大型免許取得者などの採用が難しい現状において、M&Aによる獲得は有益です。

2. M&Aによる営業リソースの獲得

M&Aは新たな営業力を一気に取り込み、売上拡大を加速させる有効な手段です。組織強化と統合の要点を解説します。

2-1. 営業組織の強化とノウハウの獲得

営業リソースの獲得を目的とするM&Aは全業種で見られます。特に高単価商品を扱う企業では、優秀な営業パーソンの獲得が売上向上に直結します。

2-2. M&A後の営業組織の統合と最適化

M&Aによる営業組織の統合では、営業フローやツールの統一、マネジメント体制の整備が必要です。組織設計の専門家の活用も視野に入れると効果的です。

3. M&Aによる新規事業開発チームの獲得

M&Aは新規事業を担う即戦力チームを一括で獲得できる手段です。Acqui-hireの特徴と活用法を解説します。

3-1. Acqui-hire(アクイハイア)の概念

スタートアップ企業を買収し、その人材とサービスを獲得する手法を「Acqui-hire(アクイハイア)」と呼びます。特に、新規事業を短期間で立ち上げる際に有効です。

3-2. CVCとAcqui-hireの違いと活用法

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル) Acqui-hire(アクイハイア)
目的 新規事業の創出や外部とのシナジー創出 優秀な人材・技術の獲得
手法 少額出資し、対象企業と協業 企業を買収し、人材を確保
経営権 対象企業の経営権は取得しない 対象企業の経営権を取得
リスク 比較的低リスク 高額な投資が必要な場合もある
活用例 スタートアップとの協業・共同開発 エンジニアチームの獲得

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)は少額出資によるシナジー創出を目的としますが、Acqui-hireは経営権の取得と人材活用を重視する点で異なります。

3-3. Acqui-hireのメリット・デメリット

Acqui-hire(アクイハイア)の活用には、メリットとデメリットが存在します。

M&Aは新規事業を担う即戦力チームを一括で獲得できる手段です。Acqui-hireの特徴と活用法を解説します。

メリット

  • 即戦力の確保

    優秀なエンジニアや専門人材を一括して獲得できる。

  • 新規事業の加速

    既存のチームやノウハウを活用し、事業開発をスムーズに進められる。

  • 競争力の向上

    他社に流出する前に有望な人材を確保できる。

デメリット

  • コストが高い

    企業ごと買収するため、資金負担が大きくなる。

  • 文化の統合が課題

    買収後の組織文化の違いによる摩擦が発生する可能性。

  • 既存のビジネスとの整合性

    買収した人材のスキルやビジョンが必ずしも既存事業と一致しない場合がある。

4.M&Aによる技術力の強化

M&Aは自社に不足する先端技術を取り込み、研究開発力や競争優位性を高める有効な手段です。統合課題にも触れます。

4-1. 技術系企業の買収による競争力向上

製造業やIT業界では、技術力のある企業を買収することで、研究開発力やイノベーション力を強化することが可能です。

4-2. 技術統合の課題と解決策

M&Aによる技術統合では、開発プロセスの違いによる摩擦や知的財産の管理が課題となります。適切な統合戦略が重要です。

5-1. 競合企業の買収による市場支配

競合企業を買収することで、市場シェアを一気に拡大し、業界内での競争優位性を確保できます。

5-1. 競合企業の買収による市場支配

競合企業を買収することで、市場シェアを一気に拡大し、業界内での競争優位性を確保できます。

5-2. シェア拡大後の人材の最適配置

M&Aは市場シェア拡大と優秀な人材の確保を同時に実現します。競争力強化と成長加速の仕組みを解説します。

6.M&A成功のための人材デューデリジェンス

M&Aの成否を左右するのは人材の質と適合性です。デューデリジェンスでの評価と統合後の活用法を解説します。

6-1. 人材デューデリジェンスの基本と目的

M&Aの成功には、人材のスキルや企業文化の適合性を事前に評価することが重要です。

6-2. 組織統合時の人材評価手法

適切な人材評価手法を導入し、統合後の組織設計を適切に行うことで、M&Aの成功確率を高めることができます。

本記事のポイントまとめ

  • M&Aは人材調達の観点からも大きなメリットがある
  • 有資格者獲得を目的としたM&Aは建設・医療・運送業界などで活発
  • 営業リソースを獲得するM&Aは高単価商材を扱う業界で重要
  • Acqui-hireはスタートアップの人材獲得手法として有効
  • CVCは低リスクな協業手法だが、Acqui-hireとは目的が異なる
  • 技術系企業の買収は競争力強化に直結する
  • M&Aによる市場シェア拡大は競争優位性を確保する有効な手段
  • M&A成功には人材デューデリジェンスと統合プロセスの最適化が不可欠

この記事を監修した担当者

株式会社Buyside Bank 代表取締役
M&Aアドバイザー

吉川 翔

1984年 大阪府堺市生まれ。㈱リクルートに新卒入社。求人広告の営業、組織コンサルタント、EC事業の営業組織マネジャーなどを歴任。2016年に大手上場M&A仲介会社に転職。M&Aアドバイザーとして在籍1年半の間に11件の成約をサポート。M&Aの実行支援フェーズだけでなく、「経営者が意思決定を行うタイミングからサポートしたい」と考え、2018年5月に㈱Buyside Bank創業。「気軽にM&Aのことを聞いてもらえて、M&A以外の選択肢を含めて相談できる存在になること」を目指す。年間およそ100人以上の経営者と面談し、創業から2025年4月までの7年間でM&Aアドバイザーとして約40件のM&A成約を支援する。

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